「膝の手術のあとに杖を使い始めたら、手首が痛くなった」「杖を持つ側の肩がこわばる」「高さが合っていない気がして、自分で調整してみた」。杖を使い始めてから手首や肩が痛む症状は、「慣れれば治まる」「高さを変えれば済む」と自己流で対処されやすいものです。しかし、杖は移動を支える用具であり、使い方や高さを自己流で変えると、転倒や、かばっている脚への負担につながることがあります。
この記事では、杖を使い始めて手首や肩が痛むときに、自己流で変更する前に、杖を選んだ医療機関や相談先へ何を再相談するか、自己購入で相談先が無い場合の考え方、確認したい症状、医療機関へ相談したい症状、受診時に伝えたいことをまとめます。高さの数値、持つ側、体重のかけ方といった具体的な指示や、使用をやめる判断は、この記事では扱いません。杖の調整と手首・肩の痛みの確認は、医療機関や理学療法士などの役割です。この記事は判断のための材料としてお読みください。
まず、杖を選んだ・指導を受けた相談先へ戻る
119 番の症状、または当日中の救急外来の症状(後述の「医療機関へ相談したい症状」)があるときは、杖の相談より先にその段へ進んでください。それらが無いときの手首や肩の痛みは、杖を医療機関やリハビリで選んでもらった方なら、その相談先へ最初に伝える症状です。「杖のことで何度も聞くのは申し訳ない」と自己流で変更する前に、次を整理して再相談してください。
- 杖を使い始めた時期、使う場面(屋外のみ、屋内も、階段)、一日に使う時間
- 受けた指導の内容(高さ、持つ側、歩き方、階段の上り下り)。覚えていない部分はその旨を伝える
- 痛みが出た時期と場所(手首の親指側か小指側か、手のひら、肘、肩の前か後ろか)。杖を使う場面と関係があるか
- 自然に気づいた支障(握力が続かない、長く歩けなくなった、肩が上がりにくい、しびれ)
- 杖以外の変化(かばっている脚の状態、転びそうになった回数、体重の変化)
- 杖の状態(ゴムの先端のすり減り、ぐらつき、指導のあとから自分で高さを変えた記憶があるか)
自分で高さを変えた場合は、それも隠さず伝えてください。「指導どおりに使えているか」を見てもらうことが、痛みの対処の第一歩になります。
自己購入で相談先が無い場合
市販の杖を自分で選んだ方は、相談先がはっきりしないまま使い続けていることがあります。手首や肩の痛みが出た時点で、原因の確認はかかりつけ医か整形外科へ、杖の種類や調整はその確認に加えて介護保険や自治体の窓口へ、と分けて相談してください。
- 原因の確認: かかりつけ医や、脚・腰の症状で通っている整形外科(杖が必要になった原因の確認と合わせて)
- 杖の種類や調整(原因の確認に加えて): 介護保険を利用している方は、ケアマネジャーや福祉用具の相談員
- 同じく(原因の確認に加えて): お住まいの自治体の高齢者や障害のある方の相談窓口
そもそも杖が必要になった脚や腰の原因を医療機関で確認していない場合は、杖の調整の前に、その確認を優先してください。
確認したい症状(手首・肩)
- 手首や肩に腫れ、赤み、熱っぽさがあるか
- 指先のしびれ、感覚の鈍さ、物を落とすなどの力の入りにくさがあるか
- 夜間に痛みで目が覚めるか。杖を使わない日も痛むか
- 転倒して手や肩をついたことがあるか
- ほかの関節にも痛みや腫れがあるか。発熱やだるさがあるか
医療機関へ相談したい症状
次のような症状は、杖の使い方の問題として様子を見ず、救急要請(119 番)をしてください。救急車が必要か迷うときだけ、救急相談(#7119)を使ってください。
- 転倒のあと、痛みで動けない、または安全に移動できない
- 転倒で頭を打ったあとに、意識がぼんやりする、繰り返し吐く、頭痛が悪化していく(このうち一つでも)
- 新しく出た、片側の顔・腕・脚のどれかの脱力やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくい、顔のゆがみ、急に見え方がおかしい(このうち一つでも。揃うまで待たないでください)
- 新しく、尿が出にくい、尿や便が漏れる、股の間や会陰部の感覚がおかしい、両脚に力が入らない(どれか一つで 119 番。揃うまで待たないでください)
- 胸の痛みや圧迫感、息苦しさ、冷や汗、吐き気を伴う肩や腕の痛み(このうち一つでも)
- 指先の感覚が無い、または反対側に比べて指先の色が急に青白く冷たい
次の場合は、自宅での工夫で様子を見ず、予約診療を待たずに、当日中に救急外来へ相談してください。
- 手首や肩が明らかに変形している(一部動かせる場合を含みます)
- 転倒して手や肩をついたあと、腫れて動かせない(高齢の方は骨折の可能性を否定できません)
- 転倒して手や肩をついたあと、高齢の方が痛がる(腫れていなくても、使えるように見えても。骨折の可能性を否定できません)。痛む側の手に体重をかけて杖をつき続けず、その日は救急外来で見てもらってください。高さや持つ側の変更はここでは指示しません
- 高齢の方が、転倒のあとに脚の付け根や太ももを痛がる(歩ける、痛みが紛れる場合を含みます。骨折の可能性を否定できません)
- 血液をさらさらにする薬を飲んでいる方の転倒のあと(頭を打っていない場合も含みます)
- 発熱や、関節の赤み・熱っぽさ・急な腫れを伴う
- 両脚の新しいしびれ。急に脚に力が入らなくなった
- 転倒で頭を打った(上の症状が無くても、当日中に救急外来へ)
- 杖を使っても歩けなくなった、かばっている脚に急な強い痛みが出た
次の場合は、整体より先に医療機関(杖を選んだ相談先、整形外科など)へ、日数を置かずに相談してください。
- 手首や肩の痛みが続く、または強くなっている。杖を使わない日も痛む
- 前から続く指先のしびれや力の入りにくさがある
- 転びそうになる回数が増えた、歩ける距離が短くなった
- 杖の高さや使い方を自分で変えてから痛みが出た
- 発熱、関節の急な赤み・熱っぽさ・急な腫れは上の当日の段。それらが無く、ほかの関節の痛みや腫れ、だるさがある
ここに当てはまらないことは、受診が不要という意味ではありません。「慣れれば治まる」と決めて我慢し続けず、支障があれば日数を待たずに相談してください。
受診時に伝えたいこと
- 杖を使い始めた時期・場面・時間と、受けた指導の内容(前の節で整理したもの)
- 痛みの場所・時期・杖を使う場面との関係
- 自分で変えたこと(高さ、持つ側、杖の種類)
- 転倒や転びそうになった回数、歩ける距離の変化
- 杖が必要になった原因の病気やけが、治療中の病気、飲んでいる薬
武蔵小杉で相談先を考えるとき
手首や肩の痛みの原因は医療機関で確認してください。杖の種類や調整は、その確認に加えて、指導を受けた医療機関や理学療法士、福祉用具の相談員へ相談してください。当院では杖の高さや使い方を指示することはできません。整体は、杖の相談先で調整と確認を受けたあと、「杖は合っていると言われたが、肩や腕の使い方で負担を感じる」「かばう動きで腰や反対側の脚に負担を感じる」という段階で、体の使い方についてお手伝いできる範囲があります。
当院では、初回にお話をうかがい、杖の相談先や医療機関の指示内容を確認したうえで、整体でお手伝いできる範囲・できない範囲をお伝えし、進め方をご相談します。受診や杖の再調整が必要と考えられる場合は、その場でお伝えします。来院の際は、杖をお持ちください。
よくあるご質問
Q. 杖の高さを自分で変えてもよいですか 自己流の変更は、転倒やかばっている脚への負担につながることがあります。杖を選んだ相談先か、かかりつけの医療機関に再相談してください。当院では高さの指示はできません。
Q. 痛みがある日に相談してもよいですか まず上記の「医療機関へ相談したい症状」に当てはまらないかを確認してください。痛みで動けない、安全に移動できない、頭を打ったあとの意識の異常・繰り返し吐く・頭痛の悪化、片側の脱力やしびれ、ろれつや言葉の異常、顔のゆがみ、尿や便の異常、両脚の脱力は 119 番です。転倒して手や肩や脚の付け根を痛がる、発熱や関節の急な赤み・腫れ、頭を打ったことは、当日中の救急外来です。これらに当てはまる日は来院しないでください。当てはまらない場合も、手首や肩の痛みそのものの確認は医療機関で受けていただくようお伝えしています。
ご予約・アクセス
新丸子駅から徒歩 3 分、武蔵小杉駅から徒歩 8 分です。院の場所や駐車場、ご予約方法はアクセス・院情報をご覧ください。ご相談だけでも構いません。


